MotoGPマシンは近年、より空気力学的な面で発展を遂げてきている。この点には批判の声もあるが、ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(VR46)は以前の状態に戻ることは決して無いだろうと考えている。
2010年代後半にドゥカティがウイングレットをマシンに搭載して以来、各メーカーはエアロダイナミクスの開発を加速。マシンはますます速さを増していて、多くのサーキットでレコードタイムが大幅に更新されていく原動力となっている。
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ただそうしてエアロダイナミクスをどんどんと発展させていくことには、批判の声もある。最高峰クラス6度王者であるマルク・マルケス(グレシーニ)は以前からこの点で批判的であり、MotoGPレジェンドのダニ・ペドロサもKTMテストライダーを務める傍ら、マルケス同様に過度なエアロダイナミクスの発達に苦言を呈している。
その一方で、今のMotoGPマシンが歩んでいる路線に満足しているライダーもいる。ディ・ジャンアントニオは現代のMotoGPマシンに乗ることの素晴らしさを力説した。
「今のところ、ライダーとしてこのMotoGPマシンは、素晴らしいものだと思う。正直、もう戻ることは決して無いだろう」
ディ・ジャンアントニオはそう語る。
「MotoGPマシンは、プロトタイプでなければならないんだ。完全なプロトタイプマシンであり、オートバイのエンジニアリングを最大限に示したモノであることが必要だ」
「正直言って、新しいエアロやデバイス、パワーなんかを実際に目にするとおかしくなりそうだ。つまるところ、僕らは二輪のF1マシンに乗っているんだからね。でも、僕はそうであるべきだと思っている」
エアロダイナミクスの過度な発展に対する批判のひとつは、レース展開への悪影響だ。空力依存度が高くなるにつれて、マシンが互いに接近しオーバーテイクを仕掛けることが難しくなっているためだ。
ディ・ジャンアントニオは既に空力が発展したタイミングの2022年にMotoGPクラスへデビューした若手だ。前述のような批判があることを彼は受け入れているが、それでもMotoGPに前世代のバイクに似せるルールを導入することは望んでいないと語った。
「ショーの観点からして、今はそのことがより重要ではある。オーバーテイクをするのがますます難しくなっているからね」
「でもライダーとしては、(今の)MotoGPマシンは素晴らしいよ。絶対に戻らないだろう。もしかしたら戻らなければならないのかもしれないけど、僕は絶対戻したくないね」
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